ペールエール（Pale Ale）

ペールエールは、イギリスで18世紀に発展したエールビールで、トーストした麦芽を使用しているため、ダークゴールドから銅色であることが特徴です。ペールエールの発展には、バートン・オン・トレントという町が大きく関わっています。この町は、硫酸カルシウム（石膏）を多く含む水質で知られており、ビールにクリスプで鮮やかなホップの風味を与える効果があります。

バートン・オン・トレントの水がペールエールの品質を向上させたため、多くの醸造家はこの水質を模倣するようになりました。こうして、水をバートン・オン・トレントの水質に近づける工程が「バートナイズ（Burtonisation）」と呼ばれるようになりました。この工程では、硫酸カルシウムを加えることで、ビールに独特のホップの苦味とクリーンなフィニッシュが生まれます。

19世紀には、バートン・オン・トレントはペールエールの一大生産地となり、バス（Bass）やマークソン（Marston’s）などの有名な醸造所が設立されました。これらの醸造所はペールエールを世界各地に輸出し、ペールエールの人気を広めました。この町の水質がペールエールの風味に与える影響は非常に大きく、現在でも多くの醸造所がバートナイズ技術を取り入れて、バートン・オン・トレントの伝統を受け継いでいます。

ペールエールは、ホップの苦味が比較的強く、フルーティーなアロマと、ほのかな甘みが感じられるバランスの良いフレーバーが特徴です。ペールエールはイギリスから世界各地に広まり、アメリカでは「アメリカン・ペールエール（APA）」として、さらにホップの香りが強調されたスタイルが登場しました。イギリスのパブでは、パイントで楽しむのが定番で、友人や家族と共に過ごす時間に欠かせない存在です。フィッシュ＆チップスやグリルした肉料理とのペアリングも人気があり、多くの料理と相性が良いです。